せっかく作った会社を解散・清算しなければいけない
「年齢的にしんどい、引退したいが次の担い手がいない」
「会社を立ち上げたけどあまり儲からなかったからやめたい」
「借金が膨れ上がって返済の見込みがない」
など理由はいろいろあるかと思います
簡単に会社を設立できるようになっただけ、早々と行き詰まる会社は多いですが、 近頃は、後継者が見つからず仕方なく廃業する会社が、じわじわ増えています
解散・清算の手続きは、債権者が絡むため複雑かつ大変手間がかかります
解散・清算の手続きに比べると会社を設立するほうがよほど簡単です
会社の設立では、手続きを自分でやってみたという方も中にはいるかもしれませんが、解散・清算は、専門家の手を借りずに手続きすることはおそらく無理でしょう
「専門家に依頼するなら、解散・清算は知らなくても良いかな?」
いえいえ、そんなことはありません
“時すでに遅し”
会社の処理は時間の区切りがあり、決まった日までに処理しておかないと損する、ということがあります
すぐに相談できる専門家がいないなら、このページで気づくことがあるかもしれません
一通りの流れは知っておいて損はありません
解散・清算は手間がかかるので費用もかかります
報酬と実費合計は、税理士で20万円〜、司法書士で20万円〜、というのが相場です。
「え! 解散・清算はそんなに大変なの?」
と感じた方、まだ休業(休眠)ページも参照して下さい
会社の9割以上は赤字の会社といわれています
ずっと赤字のままでは会社は続けていくことはできません
赤字が続くと最終的には解散・清算が待ちかまえています
会社は、銀行などからお金を借りていたり、人を雇っていたり、未払の発注先があったり、いろいろな関係者がいます
お金を貸している人、雇われている人、仕事を請け負った人は、知らない間に会社が無くなってしまうと大変困ります
このように債権者が困らないように、債権者に知らせた上で支払いを済ませる決まりになっています
儲かっている会社は解散・清算を選ぶことは少ないですが、儲かっていても借金が多い会社はあります
ですから、赤字、黒字にかかわらず債権者を保護するような手続きになっています
会社は、株主総会の解散決議、法務局で解散登記、債権者に弁済、法務局で清算登記、というという手続きを経て消滅します
会社の解散決議から清算結了までの流れは、次のとおりです。
(1) 株主総会で解散決議
解散は株主総会の特別決議で決議します
特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、かつ議決権の3分の2以上の多数で決する決議です
通常は、解散決議を行う株主総会で取締役の中から清算人を選任します
解散をもって取締役は全員退任となり、清算人に事務を引き継ぎます
(2) 解散・清算人選任の登記
解散を決議したら、本店所在地管轄の法務局に、解散登記と清算人選任登記を申請します
申請の期限は、解散の日から2週間以内です
(3)解散の届出 <税務署・都道府県・市町村他へ>
解散を決議したら、本店所在地管轄の税務署・都道府県・市町村他に、解散届(異動届出書)を提出します
(4) 財産目録・貸借対照表の作成と承認
清算人は、会社の財産を調査し、解散時における財産目録及び貸借対照表を作成します
財産目録及び貸借対照表は、臨時株主総会で承認を受けます
(5)解散確定申告書の提出
解散時における確定申告書を所轄の税務署、都道府県、市区町村へ提出します
(6)債権者へ公告・通知
会社の債権者に対して2ヶ月以内に債権を申し出るべき旨を官報で公告します
判明している債権者に対しては個別に知らせます(催告)
(7)会社財産の換価・債権取り立て・債務の弁済・残余財産の確定
清算人は、解散時の会社財産を換金し、未回収の債権を回収し、債権者に対して弁済します
債権者に弁済した時点の確定申告書を所轄の税務署、都道府県、市区町村へ提出します
(9) 株主への残余財産の分配
債務を弁済し、清算確定申告後に残った財産は、株主に分配されます
(10) 決算報告書の作成と承認
清算人は、清算事務の終了後、決算報告書を作成し、臨時株主総会において決算報告書の承認を受けます。
決算報告書の承認をもって清算結了となり、会社の法人格は消滅します
会社の財産、債権、債務がゼロになり、清算手続きが完了することを清算結了といいます
(11) 清算結了の登記
清算結了日(決算報告書の承認日)から2週間以内に、本店所在地で清算結了の登記を申請します
(12) 清算結了届を提出
所轄の税務署、都道府県、市区町村へ清算結了届(異動届出書)を提出します
解散と倒産は同じようにみえますが、違うものです
ここまで説明してきた解散・清算は自主的に会社を完全に消滅させる手続きです
倒産は、会社経営が破綻、債務の支払いが不能など、経営継続が難しくなった状態です
倒産となれば、通常は裁判所を通じて、破産、会社更生、民事再生といった処理をすることになります。
会社が破産となれば、会社は解散となります
会社更生、民事再生となれば、会社自体は存続することになります
会社に債務が残ったとしても、債権者の同意が得られるならこれまで説明した解散・清算の手続きで済みます
債務の残が大きく債権者の同意が得られない場合には、裁判所を通じて破産処理をすることになりますが、柔軟かつ費用も低額な特別清算での処理されることもあります
破産処理、特別清算処理どちらも裁判所手続きとなりますので、弁護士に依頼することになります